不穏なご近所

その1 中国

 最近、中国の覇権が強まり、アメリカをはじめとする多くの国々との摩擦を強めていますね。東シナ海尖閣諸島周辺の接続水域に中国の船が出没した回数も最近だけで100回以上数えられ、日常化してきています。台湾海峡でも中国軍用機による威嚇行為がありました。

なぜこのタイミングで?

 そして、香港を対象とした「国家安全維持法」の制定!これで、香港の市民たちはデモ行進などの表現の自由がなくなりました。香港は、イギリスから中国に返還されたとき、「返還後50年は高度の自治を保障する」とされました。つまり、どのみち50年待てば中国本土と同じ扱いができるようになるわけです。

なぜ今?なぜこんなに急ぐのでしょう?

 2018年に国家主席の任期がなくなり独裁化がすすめられた中国で、より覇権強化が急がれだしたのは、2020年3月あたりからです。ちょうど新型コロナウィルスの感染者が世界中に広がった時期と一致しています。世間では「各国がコロナウィルス対策に気をとられているうちに影響力を強めたいのだろう」などの憶測がささやかれています。たしかにその可能性もあります。もう一つ可能性として指摘したいのが、「情報統制の強化」つまり、不都合な情報が漏れ出ないよう管理を強めたいという事情があるのではないでしょうか。

 といいますのは、3月に中国の趙立堅報道官が「コロナウィルスは、米軍が中国に持ち込んだ可能性がある」とTwitterで発言したとたん、フォロワーが4000増え、中国外務省関係発信者全体のフォロワー数は22倍増加したのです。そしてTwitter社はこのなかから17万件以上を、中国政府がらみであるとして削除しています。中国は、公表されたくない情報を持っており、それを隠したり錯乱したいのでしょう。そのため、統制を強めて個人が自由な発言をできることを制約しようとしているのではないでしょうか。アメリカが言うように、コロナウィルスの発生源が武漢のウィルス研究所である可能性もあるでしょう。コロナウィルスに関する不都合な情報を中国が隠ぺいしていたことの一部は明らかになっています。中国に不都合な情報が次々流出することを何としてでも防ぎたいので暴れまわっているという感があり、何とも不穏です。

その2 北朝鮮

 そして、近年きわめてミステリアスなのが北朝鮮です。2020年4月、「太陽節」つまり北朝鮮建国の父である金日成の誕生日のイベントに、金正恩委員長が姿を見せず、かねてからあった「健康不安説」がピークに達しました。そして、4月25日、常々信ぴょう性の高い情報を発信してくださる篠原常一郎氏がYouTubeで「金正恩氏が亡くなった」という情報を発信しました。韓国の脱北者たちも、韓国のマスコミも金正恩氏が死去したという報道を行いだしました。北朝鮮と中国の国境には中国軍が張り付きました。ところが北朝鮮筋からの正式な発表は何もありませんでした。そして5月2日に「金正恩氏が健在で、肥料工場を視察した」という北朝鮮政府による報道が画像付きで行われました。この画像はつぎはぎだらけで、金正恩委員長と妹の金与正氏の画像が「2020年5月2日」と書かれた看板の下に収まっていました。この国はあまり西暦を使わないのでなんだか不自然でした。そして、マスクをつけて地元民が集まっていましたが、金正恩や金与正などひな壇の上にいる幹部は誰一人マスクをつけていません。合成?と思えるものでした。その後、6月16日、妹の金与正氏が韓国の南北連絡事務所を爆破しました。なぜ金正恩でなく金与正? そしてその後、金正恩氏が「病院を視察にいった」「洪水の被災地を見舞った」という肉声なし写真付きの報道が行われました。写真は、なんだか本物の金正恩よりも品がない?おじさんで、「影武者」疑惑がどうしてもぬぐいされません。政治上重要な局面に登場するのは妹の金与正で、金正恩委員長は政治性のないイベントしか登場しない。とても不自然で、やはりこの国で何かが起こっているのではないか、と思ってしまいます。そして、その情報操作は、中国と関係するのでしょうか?? 

 このコロナ騒動が収束するころ、現在謎めいていることが明らかになるのか、あるいは真実は永遠に語られないのか、今のところまったく予想がつきません。

 いずれにせよ、マスコミにしろSNSにしろ、情報操作というものが活発化している今日、私たちは何が正確な情報化を見極めるリテラシーを高める必要が、非常に高まっていますね。