参議院 定数増!!

 子供のころの思い出なのですが、母が夕方牛肉やジャガイモを調理しているのを見て、「晩ご飯はカレーだな」と喜んでいたら、「肉じゃが」で、がっかりしたことが何度かありました。 2018年の公職選挙法改正はまさに「カレーと思っていたら肉じゃが」といいますか、思いもよらぬ結末に驚いています。

 そもそも、今回の公職選挙法の改正は、「一票の格差」に端を発しています。選ばれる代表の数が同数である場合、選ぶ人の数が多いほど、一票の価値は下がります。5人の班で班長を選ぶ場合、一票の決定権は5分の1.でも10人の班なら10分の1に下がります。ですから、国政選挙の場合、都市部に住む人が不利になりがちです。

 最高裁判所は、衆議院選挙に関して一票の格差が5倍と4・4倍であった状況について、選挙権の平等に反するとして、違憲判決を下しています。参議院選挙に関しても、2012年に格差5倍について「違憲状態」とする(違憲ではなかったのですが)、いわばイエローカード判決を出していました。参議院のほうが甘めの判決であるのは、参議院が3年ごとの半数改選であること、選挙区が「都道府県」であり、県の代表という意味合いがあるからでした。

 それでも「違憲状態」と最高裁が言うわけですから、公職選挙法が改正され、島根県と鳥取県および高知県と徳島県が「合区」となり、農村部の一票の価値が減らされました。

 今回の公職選挙法の改正は、この「合区」問題を解決するため行われたものでした。私はてっきり一都道府県一選挙区が復活するのだと思いました。ところが、結末は次のとおりです。

・人口の多い、埼玉選挙区の定数が2名増える。
・比例代表の選出枠が4名増える。そして政党が選んだ候補者が優先的当選する「特別枠」を設ける。
・島根、鳥取と徳島、高知の合区はそのまま。

 つまり、島根、鳥取の合区によって当選できなくなった自民党議員を「特別枠」で当選させてあげようというものでした。

 財政赤字がかさむ中、仲間を救いたいために議員の数を増やすとは!あいた口がふさがりません。まさに自民党一強の弊害だなあ、と思います。そして、そもそも一票の価値は画一的に保障しなくてはならないものでしょうか、とも考えこんでしまいました。

 常々思うのですが、農村部は、都市部に比べて不便です。日の当たらないことが多いと思います。一票の価値くらい少々農村部が高くてもいいんじゃない?憲法で居住・移転の自由が保障されているわけですから、重い一票のほしい人は農村部に引っ越せばいいんじゃない?と思ってしまいます。

 平等は常に、数値的に、画一的に保障しなくてはならないものでしょうか。何が本当の平等なのか、裁判官の方も、国会議員の方も、もう一度考えていただきたいと思います。